category:小説
今朝も早くから「ハワイだ、ハワイ」とお子が走り回っております。
ハワイと言ってもアメリカさんのハワイではございません。
日本のハワイです。アンズが付くハワイです。
テスト明けに遊びに行く約束をしたとかで、舞い上がってます。
それにしても、その格好は……何枚重ね着してるんだ??
Tシャツの上にタンクトップ×2、そのうえにパーカーを羽織り、ボトムは
クォーターパンツ?
更にスパッツを合わせ、素足にスニーカー。
恐るべきは、地味めなゴクラクチョウの如き色彩感覚!
うーん、今どきの若者のファッションセンスは分からんのぅ。
それでは、日記でお遊び連載小説2にGO!
ハワイと言ってもアメリカさんのハワイではございません。
日本のハワイです。アンズが付くハワイです。
テスト明けに遊びに行く約束をしたとかで、舞い上がってます。
それにしても、その格好は……何枚重ね着してるんだ??
Tシャツの上にタンクトップ×2、そのうえにパーカーを羽織り、ボトムは
クォーターパンツ?
更にスパッツを合わせ、素足にスニーカー。
恐るべきは、地味めなゴクラクチョウの如き色彩感覚!
うーん、今どきの若者のファッションセンスは分からんのぅ。
それでは、日記でお遊び連載小説2にGO!
世界が終わるまで2
「ふ〜ん、んで、幹部候補生学校ってのは年齢制限あるのか」
「ある。大学を卒業する22歳から26歳まで限定だ。防衛大や防衛医大に到っては、
21歳までとなっている。要するに、どうせ自衛隊に入るなら、そっちを受験しろと
言うことだ。もっとも、おまえの脳味噌じゃ無理な話だがな。
分かったか、たわけ者め」
「ちょ、ちょっと待ってくれ。君、どうしてそんなに詳しいんだ。
本当は自衛隊が好きなんじゃないのかっ。興味がなければ知らないことだろう」
斉藤氏は俺に掴みかからんばかりだった。
一介の高校生が自衛隊組織図について詳しいのが、そんなに不思議か。
いいだろう。俺の壮大な未来計画を教えてやろう。
「興味はある。俺は国を顧客とする弁護士を目指しているからな、防衛庁は
いずれ上客になる予定だ。訓練中の誤爆事故は後を絶たないし、駐在する米軍との
いざこざも然りだ。
今後も防衛庁から頭痛の種が消えることはまずない。10年後にはタップリと
稼がせてもらう。
俺の名前と顔を、是非覚えておいて欲しいものだな、斉藤さんよ」
「T大法学はハッタリじゃなかったのか。君達は一体……どこの学生なんだ」
川田が俺の肩に腕を回した。
「私立城西高校だよ」
今度は斉藤氏が絶句する番だった。
「城西っ! 参ったな。幹部を大量輩出する名門高校かよ。声を掛ける相手を
間違うとは、俺も焼きが回ったか」
「なんだ、家出中の不良少年だとでも思ったのか。いや、おっさん、見る目あるぜ。
ペエペエの曹士から実力で這い上がるのも悪くねぇと思ったんだが」
この男ならばやりかねない。
泥の中で目だけをランランと光らせている川田を想像するのは容易かった。
大分落ち着き、大人びて来たとは言え、一年の頃から「野獣」の異名を欲しいままに
して来たような男だ。
自分の能力を全て出し切らざるを得ない状況にいる時の川田は、天賦とも言える
野生的な身体能力を発揮する。
理論や理屈ではなく、本能が生き残ろうとするのだ。
できることならそのような危険極まりない場所に、この男を送り込みたくはない。
こいつは俺のことすら忘れて、嬉々として戦場を這いずり回るだろうに決まっている。
だが、それが川田の生き方だと認めざるを得ないのも事実だ。
最期の瞬間まで俺を忘れていかねない男に、これ以上なにが言えるというのか。
嫌な痛み方をする左胸の上を押さえたくなる衝動を必死で押さえつけ、冷静を
装いながら川田を突き放した。
「自衛隊は末端から頂点に上りつめるシステムになってはいない。
言っておくが警察も同じだ。SATの入隊テストは厳しい」
「とまぁ、こいつにこうまで言われちゃな。悪ぃな、おっさん。
俺は十分その気はあったんだぜ」
斉藤氏は、やや薄くなりかかっている頭頂部の汗をハンカチでグリグリと拭った。
地連の勧誘も楽ではないだろう。
自衛隊は万年人員不足だ。
雨露が凌げ、飯が食え、金を貰い、特殊免許の取得が可能な自衛隊に入隊したは良いが、
三年の任期明けを待てずに逃げ出す人間も多いと聞く。
川田を見て、思わず声を掛けた斉藤氏の気持ちは分からないでもなかった。
「そちらの期待に添えず申し訳ない」
「いや、いいんだ。できれば司法や警視庁よりもウチに来て欲しいところだが、
どこへ行っても君達ならば期待できるだろうよ」
斉藤氏のくたびれた後姿を見送りながら、川田に聞かせるともなく呟く。
「本気だったのか」
「なにが?」
「自衛隊とSATのことだ」
「ああ」
川田は残ったアイスコーヒーを一気に飲み干すと、店先のダストボックスに放り投げた。
「ストライク」
不敵にニヤリと笑ったその顔が憎らしい。
「俺は強ぇもんにしか興味はない。おまえもだろ。違うか?」
その後、昼間から「生呑みに行くぞ」と言う川田につき合わされたのは言うまでもない。
いつになく深酒をしてしまったのは、今日が誕生日だという川田の、死に急ぐ
かのように本能に忠実な生き方を再確認させられたせいだろう。
いくら手綱を締めたところで、振り切って行ってしまうだろう男に腹が立つよりも
先に諦めが立つ。
こいつと俺とでは、生きる道が違い過ぎるのだ。
続く
「ふ〜ん、んで、幹部候補生学校ってのは年齢制限あるのか」
「ある。大学を卒業する22歳から26歳まで限定だ。防衛大や防衛医大に到っては、
21歳までとなっている。要するに、どうせ自衛隊に入るなら、そっちを受験しろと
言うことだ。もっとも、おまえの脳味噌じゃ無理な話だがな。
分かったか、たわけ者め」
「ちょ、ちょっと待ってくれ。君、どうしてそんなに詳しいんだ。
本当は自衛隊が好きなんじゃないのかっ。興味がなければ知らないことだろう」
斉藤氏は俺に掴みかからんばかりだった。
一介の高校生が自衛隊組織図について詳しいのが、そんなに不思議か。
いいだろう。俺の壮大な未来計画を教えてやろう。
「興味はある。俺は国を顧客とする弁護士を目指しているからな、防衛庁は
いずれ上客になる予定だ。訓練中の誤爆事故は後を絶たないし、駐在する米軍との
いざこざも然りだ。
今後も防衛庁から頭痛の種が消えることはまずない。10年後にはタップリと
稼がせてもらう。
俺の名前と顔を、是非覚えておいて欲しいものだな、斉藤さんよ」
「T大法学はハッタリじゃなかったのか。君達は一体……どこの学生なんだ」
川田が俺の肩に腕を回した。
「私立城西高校だよ」
今度は斉藤氏が絶句する番だった。
「城西っ! 参ったな。幹部を大量輩出する名門高校かよ。声を掛ける相手を
間違うとは、俺も焼きが回ったか」
「なんだ、家出中の不良少年だとでも思ったのか。いや、おっさん、見る目あるぜ。
ペエペエの曹士から実力で這い上がるのも悪くねぇと思ったんだが」
この男ならばやりかねない。
泥の中で目だけをランランと光らせている川田を想像するのは容易かった。
大分落ち着き、大人びて来たとは言え、一年の頃から「野獣」の異名を欲しいままに
して来たような男だ。
自分の能力を全て出し切らざるを得ない状況にいる時の川田は、天賦とも言える
野生的な身体能力を発揮する。
理論や理屈ではなく、本能が生き残ろうとするのだ。
できることならそのような危険極まりない場所に、この男を送り込みたくはない。
こいつは俺のことすら忘れて、嬉々として戦場を這いずり回るだろうに決まっている。
だが、それが川田の生き方だと認めざるを得ないのも事実だ。
最期の瞬間まで俺を忘れていかねない男に、これ以上なにが言えるというのか。
嫌な痛み方をする左胸の上を押さえたくなる衝動を必死で押さえつけ、冷静を
装いながら川田を突き放した。
「自衛隊は末端から頂点に上りつめるシステムになってはいない。
言っておくが警察も同じだ。SATの入隊テストは厳しい」
「とまぁ、こいつにこうまで言われちゃな。悪ぃな、おっさん。
俺は十分その気はあったんだぜ」
斉藤氏は、やや薄くなりかかっている頭頂部の汗をハンカチでグリグリと拭った。
地連の勧誘も楽ではないだろう。
自衛隊は万年人員不足だ。
雨露が凌げ、飯が食え、金を貰い、特殊免許の取得が可能な自衛隊に入隊したは良いが、
三年の任期明けを待てずに逃げ出す人間も多いと聞く。
川田を見て、思わず声を掛けた斉藤氏の気持ちは分からないでもなかった。
「そちらの期待に添えず申し訳ない」
「いや、いいんだ。できれば司法や警視庁よりもウチに来て欲しいところだが、
どこへ行っても君達ならば期待できるだろうよ」
斉藤氏のくたびれた後姿を見送りながら、川田に聞かせるともなく呟く。
「本気だったのか」
「なにが?」
「自衛隊とSATのことだ」
「ああ」
川田は残ったアイスコーヒーを一気に飲み干すと、店先のダストボックスに放り投げた。
「ストライク」
不敵にニヤリと笑ったその顔が憎らしい。
「俺は強ぇもんにしか興味はない。おまえもだろ。違うか?」
その後、昼間から「生呑みに行くぞ」と言う川田につき合わされたのは言うまでもない。
いつになく深酒をしてしまったのは、今日が誕生日だという川田の、死に急ぐ
かのように本能に忠実な生き方を再確認させられたせいだろう。
いくら手綱を締めたところで、振り切って行ってしまうだろう男に腹が立つよりも
先に諦めが立つ。
こいつと俺とでは、生きる道が違い過ぎるのだ。
続く
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