category:小説
母が学園ヘヴンの二次サイトをやっていることはご存知でしょうか。
あー、しばらく更新ストップしておりますが(汗)
あの中で非常に評判が良かった「世界が終わるまで」という丹羽中小説をですね、
戯れに川田高須に置き換えて遊んでいましたら、なんだかピッタリ嵌ってしまい…
死にネタなので本家に置くのもどうかなと思い、日記連載してみようかなんて。
はぅ、遊んでないで書けよ!というお叱りが飛んで来そうですが、許してん。
雲雀東風改稿に掛かり切りなもので、息抜きに遊ばせて下さいー
注)本家本編とは別次元のお話になっております。死人が出ますが、本家本編では
死にません(…多分)
元ネタ「世界が終わるまで」を加筆訂正していますので、丹羽中バージョンとは
また別な味わいになっています。
それでは、読んでやろうじゃないのと言うお方は、ポチッとどうぞ!
あー、しばらく更新ストップしておりますが(汗)
あの中で非常に評判が良かった「世界が終わるまで」という丹羽中小説をですね、
戯れに川田高須に置き換えて遊んでいましたら、なんだかピッタリ嵌ってしまい…
死にネタなので本家に置くのもどうかなと思い、日記連載してみようかなんて。
はぅ、遊んでないで書けよ!というお叱りが飛んで来そうですが、許してん。
雲雀東風改稿に掛かり切りなもので、息抜きに遊ばせて下さいー
注)本家本編とは別次元のお話になっております。死人が出ますが、本家本編では
死にません(…多分)
元ネタ「世界が終わるまで」を加筆訂正していますので、丹羽中バージョンとは
また別な味わいになっています。
それでは、読んでやろうじゃないのと言うお方は、ポチッとどうぞ!
世界が終わるまで 1
高校最後の夏休みなんてものは、あってないようなものだ。
長期休暇を取れるのは一、二年生のみ。
八月末の全国模試で、ほぼ受験大学が決まると言っても過言ではない三年は、
盆休みを挟んだ前後に特別講習がビッシリと入っている。
束の間の貴重な盆休みをノンビリと家で過ごし、城西へ戻るべく家を出た俺は
常陸木多賀城の駅前で面白い風景に出会った。
自分が目立つということを知らない川田は、西口の外れにあるコーヒーショップの
前で堂々と俺を待っていた。
ガタイの良いあいつは、駅前の人込みの中にいても良く目立つ。
被っていたキャップを脱ぎ、バタバタとそれで扇ぎながら、手にしたテイクアウトの
アイスコーヒーのストローを咥えているのだが、今どき珍しい天然な黒髪に、
精悍なマスクの長身が人目を引くだけではない。
黒のタンクトップがこれ見よがしに身体に張り付き、ピチピチのジーンズに
包まれた鍛え上げた肉体を誇示している男を、ライブハウスのビラ入れをしている
黒人達や、通りすがりの女性達がチラチラと気にしているのが可笑しい。
ゲイ、主婦とおぼしき女性、ケバイ女子高生、AV業界かホストクラブ関係なのか、
その辺りの勧誘らしいスーツ男など、次から次へと声を掛けられては、鬱陶しげに
払いのけている。
五分の間に一体何人に声を掛けられるのか数えてやろうと、遠目で見ていた俺は、
ヨレヨレのサラリーマン風中年男が川田に近づいて行くのに気づいた。
道を尋ねる風ではない。
ゲイ……には見えない。
どこにでもいる40過ぎのくたびれた、人の好さそうな営業マン風の中年男性だ。
驚いたことに、それまでハエを追いやるように近寄る連中を追い払っていた川田が、
その男に注意を向けた。
一体、何者なのか。
川田の注意を惹き付けた男に俄然興味を持った俺は、植え込みの陰から足を踏み出した。
「だからね、君のような若者を今の日本は必要としているんだよ」
なんだと?
男の声は切々と訴えかけていたが、随分とスケールの大きな話のようだ。
面白いものを発見した時のように輝いていた川田の目が、俺を見つけた。
「よぉ、高須。おっせぇよ。このクソ暑いのに待たせんじゃねぇっつうの」
「すまない。こちらは知り合いか」
「いや、初対面。な、おっさん」
「はい。君も高校生かな。二人とも立派な身体をしているなぁ」
男の熱を帯びた視線が、舐めるように足の先から頭までを何度も往復する。
どうやら値踏みをされたことに違いないようだが、ゲイの連中特有の絡みつく
ネチッコイ視線とは違い、得体の知れないものを感じ、俺らしくもなく不安になる。
こいつ、一体何者だ。
「……なにか」
「ああ、失礼。私、こういう者でして……」
差し出された名刺と数枚のチラシを見て、俺は絶句した。
I県地方連絡部? 自衛隊?
F-15J戦闘機が舞う青空に「美しき大空と共に」の文字が躍っているチラシを
穴があくほど見つめている俺に、その男は言った。
「戦闘機に興味があるのかい? 今からなら松島と三沢基地航空祭があるな。
と言っても宮城と青森じゃ遠いか。ああ、そうだ市ヶ谷でもツアーがあるから、
興味があるなら是非申し込むと良いよ」
「なんだ高須、戦闘機が好きだったのかよ。おまえも案外ガキっぽいなぁ」
「……」
こいつはなんで地連の勧誘なんぞに引っ掛かっているのだ。
誰が戦闘機が好きだと言った。誰がガキっぽいだと。
青葉先輩じゃあるまいし、なにが自衛隊だ。
大体、戦争ごっこが好きなのは、俺ではなくおまえの方だろうが。
「君達、高校三年生なんだろう? 進路は決めているのかな」
「……T大文?法学部だが、それがなにか」
「T……っ! ははは、またまた〜。そっちの彼は?」
「俺? 俺はそうだなぁ、警察関係に行くつもりだが、おっさんの話聞いてると
自衛隊っつうのも面白そうだ」
「川田っ!」
「そうか、そうか。警察も自衛隊も親戚みたいなものだからねぇ」
違う! 全然、全く違う! なにを言うのか、このオヤジはっ!
「自衛隊は君のような人材を待っているんだよ。その身体、その前向きな性格。
いいねぇ。惚れ惚れするよ。人と国を守る仕事にピッタリだ!」
「そうだろ。俺としちゃ警視庁SATを目指すつもりだったんだが、自衛隊かぁ」
「川田っ」
「あんだよ、うっせーな」
「このバカが、話を聞けっ。高卒で自衛隊入りしたら最後、二度と会えないぞ」
「お兄さん、馬鹿言っちゃいけないよ。そんな今生の別れじゃあるまいし」
名刺の名前を確認した俺は、地方連絡部の斉藤氏に向き直った。
「高卒採用の陸海空自衛隊員は、即座に全国各地の教育隊に入隊する。
更に陸自においては、その後の配属先の各部隊での教育が科せられる。
配属部隊に関する個人的な希望は受け入れられない。
海自の主要部隊は約24、空自は約70、陸自に到っては約160の駐屯地が
全国に点在していることを考えると、どこに飛ばされるか全く予測不能だ。
一方、学卒者による幹部候補生学校は三箇所に限られるため、陸海空の
いずれかを受験するかにより勤務先が決定する。
防衛大学校、防衛医大学校を受験しても同じことだ。
自衛隊に入るなら、防衛大を受けた方が、自分の将来にある程度のビジョンの
予測が可能だと言える。それ以前に効率的だし、昇進に有利だ。
とは言え、卒業後の配属先がどこになるか、なんてことは判りはしないがな」
「……」
理路整然と語る俺を斉藤氏が目を丸くして見ていた。
続く
高校最後の夏休みなんてものは、あってないようなものだ。
長期休暇を取れるのは一、二年生のみ。
八月末の全国模試で、ほぼ受験大学が決まると言っても過言ではない三年は、
盆休みを挟んだ前後に特別講習がビッシリと入っている。
束の間の貴重な盆休みをノンビリと家で過ごし、城西へ戻るべく家を出た俺は
常陸木多賀城の駅前で面白い風景に出会った。
自分が目立つということを知らない川田は、西口の外れにあるコーヒーショップの
前で堂々と俺を待っていた。
ガタイの良いあいつは、駅前の人込みの中にいても良く目立つ。
被っていたキャップを脱ぎ、バタバタとそれで扇ぎながら、手にしたテイクアウトの
アイスコーヒーのストローを咥えているのだが、今どき珍しい天然な黒髪に、
精悍なマスクの長身が人目を引くだけではない。
黒のタンクトップがこれ見よがしに身体に張り付き、ピチピチのジーンズに
包まれた鍛え上げた肉体を誇示している男を、ライブハウスのビラ入れをしている
黒人達や、通りすがりの女性達がチラチラと気にしているのが可笑しい。
ゲイ、主婦とおぼしき女性、ケバイ女子高生、AV業界かホストクラブ関係なのか、
その辺りの勧誘らしいスーツ男など、次から次へと声を掛けられては、鬱陶しげに
払いのけている。
五分の間に一体何人に声を掛けられるのか数えてやろうと、遠目で見ていた俺は、
ヨレヨレのサラリーマン風中年男が川田に近づいて行くのに気づいた。
道を尋ねる風ではない。
ゲイ……には見えない。
どこにでもいる40過ぎのくたびれた、人の好さそうな営業マン風の中年男性だ。
驚いたことに、それまでハエを追いやるように近寄る連中を追い払っていた川田が、
その男に注意を向けた。
一体、何者なのか。
川田の注意を惹き付けた男に俄然興味を持った俺は、植え込みの陰から足を踏み出した。
「だからね、君のような若者を今の日本は必要としているんだよ」
なんだと?
男の声は切々と訴えかけていたが、随分とスケールの大きな話のようだ。
面白いものを発見した時のように輝いていた川田の目が、俺を見つけた。
「よぉ、高須。おっせぇよ。このクソ暑いのに待たせんじゃねぇっつうの」
「すまない。こちらは知り合いか」
「いや、初対面。な、おっさん」
「はい。君も高校生かな。二人とも立派な身体をしているなぁ」
男の熱を帯びた視線が、舐めるように足の先から頭までを何度も往復する。
どうやら値踏みをされたことに違いないようだが、ゲイの連中特有の絡みつく
ネチッコイ視線とは違い、得体の知れないものを感じ、俺らしくもなく不安になる。
こいつ、一体何者だ。
「……なにか」
「ああ、失礼。私、こういう者でして……」
差し出された名刺と数枚のチラシを見て、俺は絶句した。
I県地方連絡部? 自衛隊?
F-15J戦闘機が舞う青空に「美しき大空と共に」の文字が躍っているチラシを
穴があくほど見つめている俺に、その男は言った。
「戦闘機に興味があるのかい? 今からなら松島と三沢基地航空祭があるな。
と言っても宮城と青森じゃ遠いか。ああ、そうだ市ヶ谷でもツアーがあるから、
興味があるなら是非申し込むと良いよ」
「なんだ高須、戦闘機が好きだったのかよ。おまえも案外ガキっぽいなぁ」
「……」
こいつはなんで地連の勧誘なんぞに引っ掛かっているのだ。
誰が戦闘機が好きだと言った。誰がガキっぽいだと。
青葉先輩じゃあるまいし、なにが自衛隊だ。
大体、戦争ごっこが好きなのは、俺ではなくおまえの方だろうが。
「君達、高校三年生なんだろう? 進路は決めているのかな」
「……T大文?法学部だが、それがなにか」
「T……っ! ははは、またまた〜。そっちの彼は?」
「俺? 俺はそうだなぁ、警察関係に行くつもりだが、おっさんの話聞いてると
自衛隊っつうのも面白そうだ」
「川田っ!」
「そうか、そうか。警察も自衛隊も親戚みたいなものだからねぇ」
違う! 全然、全く違う! なにを言うのか、このオヤジはっ!
「自衛隊は君のような人材を待っているんだよ。その身体、その前向きな性格。
いいねぇ。惚れ惚れするよ。人と国を守る仕事にピッタリだ!」
「そうだろ。俺としちゃ警視庁SATを目指すつもりだったんだが、自衛隊かぁ」
「川田っ」
「あんだよ、うっせーな」
「このバカが、話を聞けっ。高卒で自衛隊入りしたら最後、二度と会えないぞ」
「お兄さん、馬鹿言っちゃいけないよ。そんな今生の別れじゃあるまいし」
名刺の名前を確認した俺は、地方連絡部の斉藤氏に向き直った。
「高卒採用の陸海空自衛隊員は、即座に全国各地の教育隊に入隊する。
更に陸自においては、その後の配属先の各部隊での教育が科せられる。
配属部隊に関する個人的な希望は受け入れられない。
海自の主要部隊は約24、空自は約70、陸自に到っては約160の駐屯地が
全国に点在していることを考えると、どこに飛ばされるか全く予測不能だ。
一方、学卒者による幹部候補生学校は三箇所に限られるため、陸海空の
いずれかを受験するかにより勤務先が決定する。
防衛大学校、防衛医大学校を受験しても同じことだ。
自衛隊に入るなら、防衛大を受けた方が、自分の将来にある程度のビジョンの
予測が可能だと言える。それ以前に効率的だし、昇進に有利だ。
とは言え、卒業後の配属先がどこになるか、なんてことは判りはしないがな」
「……」
理路整然と語る俺を斉藤氏が目を丸くして見ていた。
続く
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