category:雑記
母×五人に増殖して、一人は炊事洗濯お買い物、一人は未プレイゲーム攻略、
一人はサイトバリバリ更新、一人は仕事もどきに専念、残る一人は母本体で寝て過ごす……
わけには参りませんな。こんにちは、母です。
昨日は沢山の拍手をありがとうございました。
ああ、本当にありがたいなぁ。やる気メータがググッと上昇中です。
昨日の一日お出掛けモードは仕事もどきだったので、緊張しまくりでグッタリ、
早々に寝てしまったのですが、お陰さまで復活っ!
母、そんなに熱心にサイト宣伝しているわけではないので、たまたま見つけて下さった
皆さんを本当にありがたく思っています。
(「バシバシ修正しちゃって下さい」とメール下さった検索サイトさんに
おんぶに抱っこさせて頂いているくらいですね)
ただプライベートの予定が絡まってしまって、なかなかサイトに集中できません。
執筆もアチコチ中途半端なところで止まっています。
夏から新連載を予定していた水平線シリーズ櫻井試練編ですが、申し訳ありませんが
連載開始は秋以降になりそうです。本当にごめんなさいっ。
代わりと言ってはなんですが、櫻井SSを今頑張って書いています。
いや、もうSSじゃなくて中編って感じの文章量なのですが……
7月末(8月1日?)で開設一年を迎えますが、それまでにはUPしたいなぁ、と。
(一ヶ月あればどーにかできると思うのですよ/苦笑)
あとは日記連載小説で誤魔化しながらですね(おい!)、頑張って今を乗り切ろうかと。
ヤキモキさせてしまうかもしれませんが、よろしくお付き合い下さいませ(ぺこり)
■以下メッセ御礼に参りますv
一人はサイトバリバリ更新、一人は仕事もどきに専念、残る一人は母本体で寝て過ごす……
わけには参りませんな。こんにちは、母です。
昨日は沢山の拍手をありがとうございました。
ああ、本当にありがたいなぁ。やる気メータがググッと上昇中です。
昨日の一日お出掛けモードは仕事もどきだったので、緊張しまくりでグッタリ、
早々に寝てしまったのですが、お陰さまで復活っ!
母、そんなに熱心にサイト宣伝しているわけではないので、たまたま見つけて下さった
皆さんを本当にありがたく思っています。
(「バシバシ修正しちゃって下さい」とメール下さった検索サイトさんに
おんぶに抱っこさせて頂いているくらいですね)
ただプライベートの予定が絡まってしまって、なかなかサイトに集中できません。
執筆もアチコチ中途半端なところで止まっています。
夏から新連載を予定していた水平線シリーズ櫻井試練編ですが、申し訳ありませんが
連載開始は秋以降になりそうです。本当にごめんなさいっ。
代わりと言ってはなんですが、櫻井SSを今頑張って書いています。
いや、もうSSじゃなくて中編って感じの文章量なのですが……
7月末(8月1日?)で開設一年を迎えますが、それまでにはUPしたいなぁ、と。
(一ヶ月あればどーにかできると思うのですよ/苦笑)
あとは日記連載小説で誤魔化しながらですね(おい!)、頑張って今を乗り切ろうかと。
ヤキモキさせてしまうかもしれませんが、よろしくお付き合い下さいませ(ぺこり)
■以下メッセ御礼に参りますv
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category:小説
いわゆる警察官と呼ばれる職業に従事する人間は、この日本に約26万人いる。
この26万人の警察官のうちのほとんどが地方公務員試験に合格した者達で、
国家公務員?種であるキャリアと区別する意味でノンキャリアと呼ばれている。
そのうち、一般に「お巡りさん」と呼ばれる外務警察官は約8万人。
一方、キャリアとノンキャリアの確執、軋轢を緩和させる目的で後から設置
されたと言われる、国家公務員?種試験を通った200人余り準キャリアのほと
んどは技術者で、普段は私服の上に白衣を羽織り、研究所関係に籠もってい
ることが多いと聞く。
ではキャリアはと言えば、全国に500人もいないはずだ。
たったの500人余り。ほんの一握りのエリート。それがキャリアだ。
全ての警察官のトップに君臨するのは警察庁長官だ。
だが、警察庁長官は階級ではなく職名のため、実質上の警察機構のトップは
警視庁の長である警視庁総監である。
警察機構は完全なピラミッド型の階級身分制を形勢しているのだ。
階級社会の常であるように、警察も底辺の仕事が一番キツイ。
TVドラマでお馴染みの刑事達による犯人捜査、あるいは要人擁護、交通整
理などばかりが一般的に知られているが、仕事はそんな単純なものではない。
繁華街にある交番などを訪ねれば分かることだが、拾得物処理、道案内、
酔っ払いや迷子の世話、挙句の果ては夫婦喧嘩の仲裁まで、驚くほど広範囲
に渡る仕事内容は「よろず相談所」と言った様相を見せる。
多くの警察官は、市民の苦情処理に振り回される毎日だと言っても過言ではない。
だが、この底辺を支える外務警察官が、実は一番尊い存在だ。
頻繁に市民と接触する交通警察を除き、一番多く、深く地域住民と密接に
関わっている「お巡りさん」が、本当は一番偉いのだ。
しかし、川田が目指している場所はそこではない。
警視庁特殊急襲部隊。あるいは自衛隊特殊部隊か。
特殊部隊に入隊すると、警察官名簿から名前が削除される。
名前は無論、顔、経歴、所属部署等の一切が国に保護されるのは、隊員を
テロ組織から守るためだと言われている。
そのため、たとえ同期であっても、SATに所属しているメンバー以外は、
今現在、そいつがどこで何をしているか、誰も知らないらしい。
まるで幽霊の武装集団だ。
もしも川田がSATに入れば、そうそう簡単に逢うことは叶わないだろう。
「なぁ、本気なのか」
「くどい。同じことを何度も聞くな」
9月になり、いつもと変わらぬ日常が繰り返されていた。
ただひとつ以前と違うのは、未来について川田と語る機会が増えたことくら
いだろうか。
語ると言ったところで、川田が恐る恐る説得に来るのを俺が撥ね付けるだけ
なのだが。
「弁護士になりゃ良いじゃねぇか。なぁ、そうしろよ」
「まだ分からないと言っているだろう。選択肢を増やしただけだ。なにが悪い」
「悪いかって言われると、悪かねぇけどなぁ」
俺の部屋に臭い防具を持ち込み、手入れををしていた川田の手が止まる。
「弁護士の方が向いてるって。自分でもデスクワーク向けだって分かって
んだろ?」
「そうでもない。元々、俺は官僚向けの性格だからな、警察庁長官だの防衛
庁事務次官だのが似合うとは思わないか。高須警察庁長官……良い響きだ」
ここ数年の警察人気には目を見張るものがある。
今や大蔵省を抜いて一番人気、?種合格のトップクラスがゾックリと警察に
入っているそうだが、素人目にも分かりやすく、国民を守るという具体的な
仕事であり、出世が早く、若くして現場指揮官に就き、人に頭を下げること
も少ない職業というのは、それだけ魅力的ということなのだろう。
どの世界に入ろうとも、どうせならば気持ち良くトップを目指したい。
俺は川田と違い、底辺から這い上がろうなどという手間は掛けない。
最短距離で目標に到達するために、合理的、且つ最も効果的であろう道を
選択する。
在学中に司法試験に通ってしまえば、?種採用試験でも最難関と言われる
「法律部門」もそう怖くはない。目指すは一桁合格だ。
「司法試験は受ける。一発合格とまでは言わんが、長い目で見れば一、二年
の遅れは遅れのうちに入らんだろう。言っておくが、おまえの邪魔をする
つもりはないから安心しておけ」
「ったくよぉ、黙って俺に寄り掛かってりゃ可愛い気もあるってもんだろが」
「なにか言ったか」
「いいや、なんでもねぇよ」
俺がキャリアで警察庁のトップを目指すと宣言したことが、川田にとって
吉と出るか、それとも凶と出るか。結果は四年後のお楽しみと言ったところだ。
地方公務員の警官では、まず順調にコンスタントな昇進は無理だ。
「ノンキャリアが30歳前後で警部になれる」というのは、ノンキャリアが
最速昇任した場合の仮定範疇を抜けず、警察官採用パンフレットの中だけの
夢の世界だ。
実際は40過ぎで警部になれるかどうか。それでもトントン拍子に、とは言い
難いらしい。
40歳のキャリアは間違いなく警視長になっているだろう。
川田のプライドの高さから言って、川田が警部で俺が警視長だなどと言う
事実は、到底許せるはずがない。
実際に川田が高卒で警察に就職するはずはなく、本年度インターハイ団体戦
優勝オーダーの大将である肩書きと個人戦準優勝の銘をかざし、剣道をやる
ために堂々と大学に行くだろう。
既に幾つかの大学からオファーが来ていると聞いた。
警察の門を叩くにしても、当然その方が有利であることが分からない奴ではない。
故にペエペエの巡査からスタートするとは思ってはいないが、こいつは本当に
バカだから、下手をすると意地になって底辺からトップを狙いかねないところがある。
取り扱いには要注意人物だ。
「高須警察庁長官ねぇ。高須最高裁裁判官の方が似合うんじゃねぇか」
「さぁな」
続く
この26万人の警察官のうちのほとんどが地方公務員試験に合格した者達で、
国家公務員?種であるキャリアと区別する意味でノンキャリアと呼ばれている。
そのうち、一般に「お巡りさん」と呼ばれる外務警察官は約8万人。
一方、キャリアとノンキャリアの確執、軋轢を緩和させる目的で後から設置
されたと言われる、国家公務員?種試験を通った200人余り準キャリアのほと
んどは技術者で、普段は私服の上に白衣を羽織り、研究所関係に籠もってい
ることが多いと聞く。
ではキャリアはと言えば、全国に500人もいないはずだ。
たったの500人余り。ほんの一握りのエリート。それがキャリアだ。
全ての警察官のトップに君臨するのは警察庁長官だ。
だが、警察庁長官は階級ではなく職名のため、実質上の警察機構のトップは
警視庁の長である警視庁総監である。
警察機構は完全なピラミッド型の階級身分制を形勢しているのだ。
階級社会の常であるように、警察も底辺の仕事が一番キツイ。
TVドラマでお馴染みの刑事達による犯人捜査、あるいは要人擁護、交通整
理などばかりが一般的に知られているが、仕事はそんな単純なものではない。
繁華街にある交番などを訪ねれば分かることだが、拾得物処理、道案内、
酔っ払いや迷子の世話、挙句の果ては夫婦喧嘩の仲裁まで、驚くほど広範囲
に渡る仕事内容は「よろず相談所」と言った様相を見せる。
多くの警察官は、市民の苦情処理に振り回される毎日だと言っても過言ではない。
だが、この底辺を支える外務警察官が、実は一番尊い存在だ。
頻繁に市民と接触する交通警察を除き、一番多く、深く地域住民と密接に
関わっている「お巡りさん」が、本当は一番偉いのだ。
しかし、川田が目指している場所はそこではない。
警視庁特殊急襲部隊。あるいは自衛隊特殊部隊か。
特殊部隊に入隊すると、警察官名簿から名前が削除される。
名前は無論、顔、経歴、所属部署等の一切が国に保護されるのは、隊員を
テロ組織から守るためだと言われている。
そのため、たとえ同期であっても、SATに所属しているメンバー以外は、
今現在、そいつがどこで何をしているか、誰も知らないらしい。
まるで幽霊の武装集団だ。
もしも川田がSATに入れば、そうそう簡単に逢うことは叶わないだろう。
「なぁ、本気なのか」
「くどい。同じことを何度も聞くな」
9月になり、いつもと変わらぬ日常が繰り返されていた。
ただひとつ以前と違うのは、未来について川田と語る機会が増えたことくら
いだろうか。
語ると言ったところで、川田が恐る恐る説得に来るのを俺が撥ね付けるだけ
なのだが。
「弁護士になりゃ良いじゃねぇか。なぁ、そうしろよ」
「まだ分からないと言っているだろう。選択肢を増やしただけだ。なにが悪い」
「悪いかって言われると、悪かねぇけどなぁ」
俺の部屋に臭い防具を持ち込み、手入れををしていた川田の手が止まる。
「弁護士の方が向いてるって。自分でもデスクワーク向けだって分かって
んだろ?」
「そうでもない。元々、俺は官僚向けの性格だからな、警察庁長官だの防衛
庁事務次官だのが似合うとは思わないか。高須警察庁長官……良い響きだ」
ここ数年の警察人気には目を見張るものがある。
今や大蔵省を抜いて一番人気、?種合格のトップクラスがゾックリと警察に
入っているそうだが、素人目にも分かりやすく、国民を守るという具体的な
仕事であり、出世が早く、若くして現場指揮官に就き、人に頭を下げること
も少ない職業というのは、それだけ魅力的ということなのだろう。
どの世界に入ろうとも、どうせならば気持ち良くトップを目指したい。
俺は川田と違い、底辺から這い上がろうなどという手間は掛けない。
最短距離で目標に到達するために、合理的、且つ最も効果的であろう道を
選択する。
在学中に司法試験に通ってしまえば、?種採用試験でも最難関と言われる
「法律部門」もそう怖くはない。目指すは一桁合格だ。
「司法試験は受ける。一発合格とまでは言わんが、長い目で見れば一、二年
の遅れは遅れのうちに入らんだろう。言っておくが、おまえの邪魔をする
つもりはないから安心しておけ」
「ったくよぉ、黙って俺に寄り掛かってりゃ可愛い気もあるってもんだろが」
「なにか言ったか」
「いいや、なんでもねぇよ」
俺がキャリアで警察庁のトップを目指すと宣言したことが、川田にとって
吉と出るか、それとも凶と出るか。結果は四年後のお楽しみと言ったところだ。
地方公務員の警官では、まず順調にコンスタントな昇進は無理だ。
「ノンキャリアが30歳前後で警部になれる」というのは、ノンキャリアが
最速昇任した場合の仮定範疇を抜けず、警察官採用パンフレットの中だけの
夢の世界だ。
実際は40過ぎで警部になれるかどうか。それでもトントン拍子に、とは言い
難いらしい。
40歳のキャリアは間違いなく警視長になっているだろう。
川田のプライドの高さから言って、川田が警部で俺が警視長だなどと言う
事実は、到底許せるはずがない。
実際に川田が高卒で警察に就職するはずはなく、本年度インターハイ団体戦
優勝オーダーの大将である肩書きと個人戦準優勝の銘をかざし、剣道をやる
ために堂々と大学に行くだろう。
既に幾つかの大学からオファーが来ていると聞いた。
警察の門を叩くにしても、当然その方が有利であることが分からない奴ではない。
故にペエペエの巡査からスタートするとは思ってはいないが、こいつは本当に
バカだから、下手をすると意地になって底辺からトップを狙いかねないところがある。
取り扱いには要注意人物だ。
「高須警察庁長官ねぇ。高須最高裁裁判官の方が似合うんじゃねぇか」
「さぁな」
続く
category:Route6更新報告
おはよーございます。今朝はなにやら涼しげな。過ごしやすそうでなによりです。
さて、一部ご好評頂きました「世界が終わるまで(前半)」(川田×高須)
ですが、今日から後半の連載に参りまする。
毎日連載…となるかどうかは微妙。月水金連載かな?(汗)
ともかく今日から日記で連載小説(後半)再開ですが、あれですね、日記で
連載だと日付の新しいものから表示されるので、ちょっと読みにくいのが難ですね。
うーん、後半完結しましたら、まとめてサイトへ移しますわ。
それまで、また宜しくお付き合い下さいませv
■いつも拍手をありがとうございますv
お陰さまでドーピング注入OK!
これから10月まで鬼のように忙しい日々が続きそうですが、頑張りますねー!
さて、一部ご好評頂きました「世界が終わるまで(前半)」(川田×高須)
ですが、今日から後半の連載に参りまする。
毎日連載…となるかどうかは微妙。月水金連載かな?(汗)
ともかく今日から日記で連載小説(後半)再開ですが、あれですね、日記で
連載だと日付の新しいものから表示されるので、ちょっと読みにくいのが難ですね。
うーん、後半完結しましたら、まとめてサイトへ移しますわ。
それまで、また宜しくお付き合い下さいませv
■いつも拍手をありがとうございますv
お陰さまでドーピング注入OK!
これから10月まで鬼のように忙しい日々が続きそうですが、頑張りますねー!
category:雑記
category:雑記
おはよーございます。今日の北関東は暑くなりそうですね。洗濯、洗濯!
昨日は日中から夕方に掛けて激しい雷雨となり、PCを点けることができません
でした。いや、音が凄かったんですよ。
稲妻好きですけどね、家鳴りはするは地鳴りはするはで10ビビリ。
さて毎日のように通い続けた歯医者さんですが、今日が最終日(のはず)!
夏の盛りまで通わずに済むようにと、せっせと往復した甲斐がありました。
自動車免許を持っていない母、バスで15分ほど揺られて参りますが、田舎故に
一時間に一本程度しかバスが走っておりません。
下手すると帰りのバスがなく、かえって駅前まで出てしまった方が便が良かっ
たりします(駅行きのバスは一時間に三、四本くらいあるの)。
なもので、ほぼ一日掛かりの歯医者さんになってしまうのです。
ああ、歯医者通いが終わるとグーッと楽になります。時間ができます。
明日からの毎日が楽しみだっ(気が早い/笑)。
昨日は日中から夕方に掛けて激しい雷雨となり、PCを点けることができません
でした。いや、音が凄かったんですよ。
稲妻好きですけどね、家鳴りはするは地鳴りはするはで10ビビリ。
さて毎日のように通い続けた歯医者さんですが、今日が最終日(のはず)!
夏の盛りまで通わずに済むようにと、せっせと往復した甲斐がありました。
自動車免許を持っていない母、バスで15分ほど揺られて参りますが、田舎故に
一時間に一本程度しかバスが走っておりません。
下手すると帰りのバスがなく、かえって駅前まで出てしまった方が便が良かっ
たりします(駅行きのバスは一時間に三、四本くらいあるの)。
なもので、ほぼ一日掛かりの歯医者さんになってしまうのです。
ああ、歯医者通いが終わるとグーッと楽になります。時間ができます。
明日からの毎日が楽しみだっ(気が早い/笑)。
category:小説
川田の溜息を背中で聞きながら、持ち帰った学園祭に関する書類のチェックを続ける。
今年、櫻井が会長職を務める生徒会で、俺は生徒会議長を勤めており、川田までもが
柄にもなく学年生徒会の三学年長を引き受けていた。
生徒会などには縁がなさそうな川田が関わっているのは、俺の精神状態が二年の終わり
頃まで不安定だったせいだろう。要するに傍で見張られていたのだ。
それと気づくまで半年ばかり掛かったが、不思議と腹は立たなかった。
元々川田とは行動を共にすることが多かったせいか、傍にいて当然と思っていた
こともある。
だが、阿世賀先生を亡くした後に剣道部を去った俺だったが、川田を手放すこと
だけはできなかったのだ。そして川田も俺を放そうとはしなかった。
それを良いことに曖昧な関係が続いていたが、己の業の深さに気づいてしまった今、
いずれ白黒はっきりさせなければならないだろう。
不透明な将来を思い、そっと溜息を吐いた俺は書類に視線を戻した。
法的にヤバイと思われる危険イベント案を、大真面目に提出して来るクラブは相当数に上る。
頭が良いのか悪いのか、それとも生徒議会を試しているつもりなのか。
国公立大学進学率80%を誇る城西と言えども、この学校は紙一重の場所にいる奴が
多すぎる。
教師、生徒共にマッドサイエンス野郎がひしめき合う校内を野放しにすれば、
実験棟の一つや二つ、あっと言う間に吹き飛んでいるだろう。
一回でも成功させればAO推薦合格は手堅いだけに、毎年一、二年による先走った
危険なイベント案がなくなることはないが、毎年似たような企画を持ち込むあたり
独創性に欠け、呆れるばかりだ。
「それとも指導教員の趣味なのか」
「あ、なにがだ。手作り打上げ花火? またコレかよ。保健医も懲りねぇなぁ。
去年もボツったんだよな、確か」
化学部のコレは、常識から言ってボツの書類の山に入れるべきものだ。
保健医のくせに部活顧問を買って出る鴫原先生の飽くなき探究心は賞賛に値するが、
あれほど消防法に引っ掛かると、助言を続けている我々を一体何だと思っているのか。
先日も、学内イベントで打ち上げられる、いわゆるポカと呼ばれる音と白煙だけの
花火を盗み出し、解体していたことがバレ、校長からコッテリ絞られたはずだが、
この企画書を見る限りでは、全く動じていないらしい。
校長と鴫原先生は縁続きだという噂があるが、それにしても甘い。甘すぎる。
「もしも10年後に保健医が消防法でしょっ引かれるとしたら、おまえはパクる側なのか?
それとも弁護する側になるのか? どっちだ」
「いい加減にしろ。今から気にして何になる。そんな先のことは分からん」
「そうかぁ、今から考えておいた方が良いんじゃねぇか。こいつはヤバイぞ。今年の
保健医はやる気十分と見た。花火は完成しちまったみたいだな」
「なにっ」
川田の手から企画書を引ったくった俺は、書類の下の方に申し訳程度に小さく
「試作品開発済み。打上げさせてね」と書いてあるのを見つけ目を剥いた。
「すぐに廃棄処分させるっ」
いくら医者とは言え、花火製造にはド素人の鴫原先生が、火気危険物取り扱い免許もなく、
勝手に打上げ花火を作ったなどと言うことが外部に漏れれば、ただでは済まなくなる。
のほほんとした鴫原先生に悪気はないとは言え、化学活動に関しては叩けば際限なく
怪しげな埃が出る身体だ。
下手をすれば公安にマークされても文句は言えない。
「絶対に持ち出させるな。実験棟内で処理する」
「一回くらい、どこかで打上げさせてやりてぇけどなぁ、しゃーねぇか」
「櫻井に連絡している暇はないな。付き合え、川田」
共に実験棟に向かう男の横顔は嬉々としている。
鴫原先生印の怪しげな花火……というよりも爆発物が、どのような形態の物かも
分からないうちから、既にこの状況を楽しんでいる様子が伺えた。
平凡な俺の毎日に注がれる、適度なストレスと過剰すぎる刺激の元凶。
世界を丸ごと、俺のために守ると公言して憚らないキザな大バカ野郎の顔には、これから
爆弾処理に向かうというのに、緊張感も義務感も見当たらない。
「少しは緊張したらどうだ。どんな代物かも分からないのだぞ」
「大丈夫だって。作った本人に処分させりゃ良いんだからよ」
ふと、何故、俺はこんなことに首を突っ込んでいるのだろうと不思議な気分になった。
思うようにならない自分と他人の狭間で、諦めにも似た平凡で退屈な日々に甘んじて
いた一年前ならば、他人が爆発物を作ろうが、どこで爆発させようが、俺には関係のない
出来事だった。
「ああ、またバカがバカをやっている」と高みの見物を決め込んでいただろう。
わざわざ自らの手で廃棄処分に向かうなど、自分のやっていることが未だに信じられない。
あれから腫れ物に触ると言った周りの反応のお陰で、未だにツルむという行為には
慣れないが、他の誰かといる時よりも川田と一緒の時だけは、自分は一人ではない
のだと実感できる。
元々人に自分を説明するくらいならば、分からないままでいてくれた方が面倒がないと
思った来た。それはバカ殿を演じていた頃から変わらない。
他人が俺をどう思おうが、そいつの勝手だ。
誰かに理解して貰いたい、そのために努力しようなどとは思ったこともない。
川田が現れるまでは……
いや、もしかすると川田に理解して欲しいと思ったこともなかったかもしれない。
そう思う前に、川田はいとも簡単にスルリと俺の中に入り込んでいたのだから。
共にいることがあまりにも自然すぎて、何かを欲することさえも忘れていたのだ。
隣を歩く脳天気な男の横顔を伺いながら、今、はじめて心から川田を欲しいと感じていた。
一般規格から十分はみ出した川田は、俺の手に負えるとは思えないし、敢えて危険と
隣り合わせに生きる道を選ぶなど、やはり俺には理解できない。
だから、臆面もなく「おまえがいる世界だから守りたい」などという恥ずかしい言葉で
俺を縛りつけ、そのくせ離れて行こうとする男など、こっちから世界に放り出して
やろうと思ったはずだった。
言葉は形に残らない。口にした傍から消えてなくなる言葉など、なんの約束になるだろう。
どこかで繋がっているのだと実感できるならば、一瞬で消えてしまう言葉などいらない。
結局、川田を信じることだけが残された道なのだ。
「川田、二度は言わないから良く聞けよ」
「な、なんだよ、急に。怖ぇな」
「世界ごと俺を守りたいと言うのなら、守らせてやる。SATにでも入って存分に働け」
「おいおい、随分と偉そうじゃねぇか。どうしたんだ」
こんな奴でも、俺の口から「SATに行け」と言われれば嬉しいのだろう。
まるで許しを得た犬が餌に喰らいつかんばかりな顔になったのを見て、つい頬が緩み
そうになり、慌てて引き締めなければならなかった。
続く
今年、櫻井が会長職を務める生徒会で、俺は生徒会議長を勤めており、川田までもが
柄にもなく学年生徒会の三学年長を引き受けていた。
生徒会などには縁がなさそうな川田が関わっているのは、俺の精神状態が二年の終わり
頃まで不安定だったせいだろう。要するに傍で見張られていたのだ。
それと気づくまで半年ばかり掛かったが、不思議と腹は立たなかった。
元々川田とは行動を共にすることが多かったせいか、傍にいて当然と思っていた
こともある。
だが、阿世賀先生を亡くした後に剣道部を去った俺だったが、川田を手放すこと
だけはできなかったのだ。そして川田も俺を放そうとはしなかった。
それを良いことに曖昧な関係が続いていたが、己の業の深さに気づいてしまった今、
いずれ白黒はっきりさせなければならないだろう。
不透明な将来を思い、そっと溜息を吐いた俺は書類に視線を戻した。
法的にヤバイと思われる危険イベント案を、大真面目に提出して来るクラブは相当数に上る。
頭が良いのか悪いのか、それとも生徒議会を試しているつもりなのか。
国公立大学進学率80%を誇る城西と言えども、この学校は紙一重の場所にいる奴が
多すぎる。
教師、生徒共にマッドサイエンス野郎がひしめき合う校内を野放しにすれば、
実験棟の一つや二つ、あっと言う間に吹き飛んでいるだろう。
一回でも成功させればAO推薦合格は手堅いだけに、毎年一、二年による先走った
危険なイベント案がなくなることはないが、毎年似たような企画を持ち込むあたり
独創性に欠け、呆れるばかりだ。
「それとも指導教員の趣味なのか」
「あ、なにがだ。手作り打上げ花火? またコレかよ。保健医も懲りねぇなぁ。
去年もボツったんだよな、確か」
化学部のコレは、常識から言ってボツの書類の山に入れるべきものだ。
保健医のくせに部活顧問を買って出る鴫原先生の飽くなき探究心は賞賛に値するが、
あれほど消防法に引っ掛かると、助言を続けている我々を一体何だと思っているのか。
先日も、学内イベントで打ち上げられる、いわゆるポカと呼ばれる音と白煙だけの
花火を盗み出し、解体していたことがバレ、校長からコッテリ絞られたはずだが、
この企画書を見る限りでは、全く動じていないらしい。
校長と鴫原先生は縁続きだという噂があるが、それにしても甘い。甘すぎる。
「もしも10年後に保健医が消防法でしょっ引かれるとしたら、おまえはパクる側なのか?
それとも弁護する側になるのか? どっちだ」
「いい加減にしろ。今から気にして何になる。そんな先のことは分からん」
「そうかぁ、今から考えておいた方が良いんじゃねぇか。こいつはヤバイぞ。今年の
保健医はやる気十分と見た。花火は完成しちまったみたいだな」
「なにっ」
川田の手から企画書を引ったくった俺は、書類の下の方に申し訳程度に小さく
「試作品開発済み。打上げさせてね」と書いてあるのを見つけ目を剥いた。
「すぐに廃棄処分させるっ」
いくら医者とは言え、花火製造にはド素人の鴫原先生が、火気危険物取り扱い免許もなく、
勝手に打上げ花火を作ったなどと言うことが外部に漏れれば、ただでは済まなくなる。
のほほんとした鴫原先生に悪気はないとは言え、化学活動に関しては叩けば際限なく
怪しげな埃が出る身体だ。
下手をすれば公安にマークされても文句は言えない。
「絶対に持ち出させるな。実験棟内で処理する」
「一回くらい、どこかで打上げさせてやりてぇけどなぁ、しゃーねぇか」
「櫻井に連絡している暇はないな。付き合え、川田」
共に実験棟に向かう男の横顔は嬉々としている。
鴫原先生印の怪しげな花火……というよりも爆発物が、どのような形態の物かも
分からないうちから、既にこの状況を楽しんでいる様子が伺えた。
平凡な俺の毎日に注がれる、適度なストレスと過剰すぎる刺激の元凶。
世界を丸ごと、俺のために守ると公言して憚らないキザな大バカ野郎の顔には、これから
爆弾処理に向かうというのに、緊張感も義務感も見当たらない。
「少しは緊張したらどうだ。どんな代物かも分からないのだぞ」
「大丈夫だって。作った本人に処分させりゃ良いんだからよ」
ふと、何故、俺はこんなことに首を突っ込んでいるのだろうと不思議な気分になった。
思うようにならない自分と他人の狭間で、諦めにも似た平凡で退屈な日々に甘んじて
いた一年前ならば、他人が爆発物を作ろうが、どこで爆発させようが、俺には関係のない
出来事だった。
「ああ、またバカがバカをやっている」と高みの見物を決め込んでいただろう。
わざわざ自らの手で廃棄処分に向かうなど、自分のやっていることが未だに信じられない。
あれから腫れ物に触ると言った周りの反応のお陰で、未だにツルむという行為には
慣れないが、他の誰かといる時よりも川田と一緒の時だけは、自分は一人ではない
のだと実感できる。
元々人に自分を説明するくらいならば、分からないままでいてくれた方が面倒がないと
思った来た。それはバカ殿を演じていた頃から変わらない。
他人が俺をどう思おうが、そいつの勝手だ。
誰かに理解して貰いたい、そのために努力しようなどとは思ったこともない。
川田が現れるまでは……
いや、もしかすると川田に理解して欲しいと思ったこともなかったかもしれない。
そう思う前に、川田はいとも簡単にスルリと俺の中に入り込んでいたのだから。
共にいることがあまりにも自然すぎて、何かを欲することさえも忘れていたのだ。
隣を歩く脳天気な男の横顔を伺いながら、今、はじめて心から川田を欲しいと感じていた。
一般規格から十分はみ出した川田は、俺の手に負えるとは思えないし、敢えて危険と
隣り合わせに生きる道を選ぶなど、やはり俺には理解できない。
だから、臆面もなく「おまえがいる世界だから守りたい」などという恥ずかしい言葉で
俺を縛りつけ、そのくせ離れて行こうとする男など、こっちから世界に放り出して
やろうと思ったはずだった。
言葉は形に残らない。口にした傍から消えてなくなる言葉など、なんの約束になるだろう。
どこかで繋がっているのだと実感できるならば、一瞬で消えてしまう言葉などいらない。
結局、川田を信じることだけが残された道なのだ。
「川田、二度は言わないから良く聞けよ」
「な、なんだよ、急に。怖ぇな」
「世界ごと俺を守りたいと言うのなら、守らせてやる。SATにでも入って存分に働け」
「おいおい、随分と偉そうじゃねぇか。どうしたんだ」
こんな奴でも、俺の口から「SATに行け」と言われれば嬉しいのだろう。
まるで許しを得た犬が餌に喰らいつかんばかりな顔になったのを見て、つい頬が緩み
そうになり、慌てて引き締めなければならなかった。
続く
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